V&A所蔵のデザインのおはなし
V&A所蔵の沢山のデザインの中から、様々な時代、スタイルや文化を象徴する
素晴らしいデザインを14種類セレクトしました。

- Arts and Crafts アーツ&クラフツ -
アーツ・アンド・クラフツのデザインの不変的な魅力を再発見。
デジタル化が進む中、ウィリアム・モリスのような当時を代表する
デザイナーが大切にしたものづくりへの精神を再訪していきます。
いちご泥棒
ウィリアム・モリス(1834〜96年)
英国、1883年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
ウィリアム・モリスのデザインは彼が育った英国のカントリーサイドからインスピレーションを得ています。ツグミ、スイカズラ、ひまわり、ケシの花などはモリスが手掛けた花柄のテキスタイルや壁紙に欠かせないモチーフです。このストールのデザインはモリスが制作した最も有名な図案のひとつである「いちご泥棒」(1883年)です。
アラベスク
オーエン・ジョーンズ (1809〜74年)
英国、19世紀
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
このエレガントなストールは19世紀後半にオーエン・ジョーンズがデザインした柄が元になっています。壁紙、タイル、カーペットなど平なもののための図案であると考えられています。ジョーンズは建築を学び、ロンドンの美術界では中心的存在で、V&Aの使命や哲学を共有する重要な人物でした。
オウムとザクロ
ウォルター・クレイン(1845〜1915年)
英国、1899年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
この楽しい図案はウォルター・クレインが1887年に壁紙用にデザインして、ロンドンのジェフリー&コー社が印刷しました。クレインは画家、デザイナー、イラストレーターとして活躍し、多くのテキスタイル、カーペット、陶磁器、ステンドガラス、壁紙などを手掛けました。ジェフリー&コー社との関わりで国際的にも有名になりました。
鳥と蝶々
C.F.Aヴォイジー (1857〜1941年)
英国、1918年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
この楽しい鳥、蝶々とベリーの柄は1918年のアーツ・アンド・クラフツの建築家・デザイナーのC.F.Aヴォイジーがデイザンしました。ヴォイジーによる傑作には柄の構図、植物や動物モチーフなどからウィリアム・モリスの影響が感じられる一方で、規則正しいリピートやフラットなレイアウトからはオリジナリティーが見られます。それらの要素が合わさりタイムレスで人気のあるデザインになっています。
ファミーユ・ローズ
オーエン・ジョーンズ
英国、1867年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
このエレガントなストールはオーエン・ジョーンズの1867年出版の「サウスケンジントン・ミュージアムなどに所蔵されている中国の装飾より」に収録されているデザインが元になっています。ジョーンズは建築を学び、ロンドンの美術界では中心的存在で、V&Aの使命や哲学を共有する重要な人物でした。
ローサー
シドニー・モーソン (1876〜1941年)
英国、1909年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
この動植物で賑やかなアーツ・アンド・クラフツの図案は1909年にシドニー・モーソンがデザインしました。モーソンはフリーランスのテキスタイルと壁紙のデザイナーで20世紀の初頭、リバティー社から販売された「ローサー」のような繊細に自然界のモチーフを描いたデザインで成功しました。その前には、スレード美術学校で風景画の先生を務めていました。
ライオネス
C.F.A.ヴォイジー (1857〜1941年)
英国、1918年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
C.F.A.ヴォイジーは英国の建築家、家具およびテキスタイルデザイナーでした。この「ライオネス」のストールは内装用ファブリック用の描画が元になっています。ヴォイジーは建築とインテリアは同じ考え方で有効であると捉えていました。「内部から外部へ」テキスタイルを含め、家の細かい部分までデザインしました。
リス
C.F.A.ヴォイジー (1857〜1941年)
英国、1909年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
V&Aは描画、生地、カーペットや壁紙など幅広く、数多くのヴォイジーのデザインを所蔵しています。その中でこの1909年に制作された壁紙用の水彩画を発見しました。彼のデザインは、力強いリピート、自然なフォルム、動物、柔らかい色合いとシンプルさが特徴です。
- Exotic Leaves エキゾチック・リーフ -
V&Aは1852年に創立されてから、珍しいユニークなデザインを発見する場所となっています。
そして、有名なデザイナーだけでなく、世界中の伝統的な技法にも焦点を当てます。
タイル・パネル
ジャイプール、1913年頃
© Victoria and Albert Museum, London
この幾何学と花柄模様のコットンシルクストールはジャイプールで1910年代にデザインされたタイルのデザインが元になっています。1866年に美術学校が設立されてから、たくさんの色彩豊かな美しいタイルがこの街でつくられました。オリジナルのタイルの特徴であるブルーの色調はそのままに、新たなデザインに生まれ変わりました。この色はもともと、ジェイポライトという名前で知られるコバルトの酸化物から得られるものです。
タイル・パネル
イズニック、1580年頃
© Victoria and Albert Museum, London
このコットンシルクの長方形のストールのデザインはV&Aに所蔵されているフリットウェアのタイル(1580年頃制作)が元になっています。陶器で有名だったトルコの街、イズニックで制作されたこのタイルにはカラフルなカーネーション、チューリップ、ヒヤシンスとサズ葉文が描かれています。
木版プリントのテキスタイル
ラホール、1930年頃
© Victoria and Albert Museum, London
夏をかんじさせてくれるこのストールのデザインは、1930年頃に制作された椰子の木が描かれている木版印刷のテキスタイルが元になっています。ラホール、現在のパキスタンでプリントされた綿生地です。
- Lush Florals ラッシュ・フローラル -
18世紀にロンドンのスピタルフィールズで栄えたシルクのデザインを含む、
V&Aが所蔵する爽やかな色合いと花柄の図案を通して、
自然界の自由とハーモニーをお楽しみください。
シルク織物用のデザイン
アンナ・マリア・ガースウェイト
(1690〜1763年)
スピタルフィールズ、ロンドン、1733年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
このストールは、1730年代にアンナ・マリア・ガースウェイトがデザインしたシルク織物用の図案が元になっています。18世紀は英国のシルク織物産業向けのデザインの歴史において特に重要な時代でした。数々の水彩のデザイン画がV&Aに所蔵されていることからガースウェイトはその時期に最も活躍した一人とされています。
装飾がプリントされた紙
おそらくフランス、18世紀
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
この素敵なストールはV&AのPrints and Drawings (印刷物と描画)部門に所蔵されている、18世紀に印刷された紙に基づいています。このような小さい木版で手刷りされ、手彩色された装飾的な印刷は1700年代のフランスとイタリアで発祥しました。現代の壁紙の前身として、これらはお手頃で安価に制作され、内装用や書籍の表紙に使用されました。多くの場合、幾何学模様もしくは花柄でした。
シルク織物用のデザイン
アンナ・マリア・ガースウェイト
(1690〜1763年)
スピタルフィールズ、ロンドン
1731〜32年
© Victoria and Albert Museum, London
© Victoria and Albert Museum, London
18世紀は英国のシルクの歴史において最も重要な時期であり、そこで活躍したデザイナーの一人がアンナ・マリア・ガースウェイトです。彼女の現存する作品すべてがV&Aに所蔵されています。このストールの柄は、1730年代にアンナ・マリア・ガースウェイトが作成したシルク織物のオリジナルデザインを基にしています。